今回は、「時代とともに変化する英語」についてのお話をします。
昔学校時代で勉強した英語表現を使ってみたら、外国人の友達に「その表現もういまはほとんど使われてないよ~」と言われました。
学校で勉強した表現を生かしているのは素晴らしいことですが、言葉は常に進化しているものなので、そこを気を付けたほうがいいと思いますよ。
日本語に新しい・古いがあるのと同じように、英語も時代とともに変化しています。
流行語やスラングに流行り廃りがあるのはもちろんですが、それ以外にも、今ではあまり使われない言い回しや、新たに取り入れられている使い方もあります。
今日は、そんな英語の変化について考えてみます。
もくじ
『持ち帰り=”doggy bag”』はもう古い?
気軽に海外旅行に行けなくなって久しいですが、今日は旅行英会話を少し思い出してみてください。
レストランで、持ち帰りのことを”doggy bag”(ドギーバッグ)と言う、と覚えた方も多いのではないでしょうか。
実は、今では”doggy bag”という表現はほとんど使われなくなっています。
“doggy bag”の由来
元々、”doggy bag”というのは、「犬に食べさせるため(という建前で)食べ残したものを持ち帰る」ことから、そう言われるようになりました。
しかし日本でもアメリカでも、時とともにペットのあり方は変化しています。
今ではペットも大切な家族の一員であり、食べ残しを与える存在ではなくなっています。
そのため、“doggy bag”という表現は、あまりスマートとは言えません。
“doggy bag”に代わる新たな表現
では、代わりにどのような表現ができるでしょうか?
アメリカのレストランで、持ち帰りたいときは、たったこれだけで伝わります。
★ Can I get a box?
「箱をもらえますか?」
Boxといえば、持ち帰り用の箱のこと。
もし食事が余っているようなら、お店の人が”Do you need a box?”「箱は要りますか?」と聞いてくれます。
★ Can I take this to-go?
「これを持ち帰ってもいいですか?」
“to-go”「持ち帰り」という表現を使って伝えることもできます。
自分で詰めるように箱を持ってきてくれるレストランもあれば、お皿を下げて厨房で詰めてきてくれるレストランもあります。
日本では、レストランでの持ち帰りは基本的にNG。
しかしアメリカでは、残ったら持ち帰るのが普通です。持ち帰ることを前提に、多くオーダーしたりもします。
ジェンダー・人種による言葉の変化
日本でも、男女共同参画の一環で、言葉の使い方に注意が払われるようになってきていますね。
たとえば、「看護婦」から「看護師」というジェンダーフリーの表現になっています。
多様性の豊かなアメリカでは、近年、LGBTやBLM (Black Lives Matter)の流れを意識した言葉の変化が進んでいます。
古くて新しい、『単数形の”they”(singular they)』
私たちが中学校で習う”they”は、「彼ら」=複数形、です。
しかしこの”they”、実は単数形として使うことができるのです。
600年以上前から使われている
単数形の”they”(singular they)は、性別がわからない単数への代名詞として使います。
例えば、everybodyやsomeoneといった性別を指定しない言葉を受け、以下のようになります。
“Everyone has their opinion.” 「誰もが自分の意見を持っている。」
しかし、この用法はルールが曖昧なこともあり、積極的には使われてはいませんでした。
その代わりとして、”he or she” “his/her” といった表記が使われてきました。
(これには、「なぜ”he”が”she”より先に来るのか」といった議論も起こっていました。)
2019年を代表する『今年の言葉』に選ばれる
そうして息を潜めていた単数形の”they”(singular they)が、にわかに脚光を浴びることになります。
2019年には、”they”がアメリカの大手辞書出版社Merriam-Websterから『今年の言葉(Word of the Year)』に選ばれました。”they”の検索回数が、前年の300%超となったのです。
単数形の”they”が注目を集めることとなった背景には、性の多様性への配慮があります。
“he”(彼)でも”she”(彼女)でもない第三の選択肢として”they”を使うことが、LGBTを支持する人たちの間でまたたく間に広がりました。
単数形の”they”(singular they)は、まさに「古くて新しい」、時代に合わせて使われている言葉といえるでしょう。
新しい言葉に対応するには?
非ネイティブの私たちが、英語の変化の最先端に追いついている必要はありません。
それでも、どうしたら新しい言葉の使い方を知ることができるでしょうか?
英字新聞を読むと、時代の流れをひしひしと感じられるでしょう。
また、英語の辞書も年々改訂されています。
オンラインの辞書であれば、自動的に最新の情報にアップデートされていきます。
利便性だけでなく、常に最新版であるという意味でも、オンライン辞書を使うのは有効かもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
流行語やスラングといった時代を反映しやすい言葉以外にも、変化を生む要因があるのですね。
様々な立場に配慮して、すべての人に優しくあろうとしている、今の社会。
時代の流れを意識しすぎて、固くなる必要はありません。
新たな言葉や使い方に出会ったら、柔軟に対応していきましょう。
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