今回は、「時代に応じて変化する英語表現」についてのお話をします。
言語が時代と共に変化するというのは、違和感のないことかもしれません。実際、
私たちの母国語である日本語も、ここ10年だけでもかなり変化したのではないでしょうか。
その変化を表す一例ですが、2018年に発刊された第7版広辞苑では、2008年に発刊された第6版のものから、なんと新たに1万語が追加されたのです。
収録語数が25万語の中で、1万語が10年で増えたというのは驚愕ですよね。
その他、三省堂さんが発表している、「辞書を編む人が選ぶ今年の新語」では、
2021年に「チルい」、2022年には「タイパ」が対象に選ばれております。
新しい言葉が生まれ、使われなっていく言葉もあることが言語の常なのかもしれません。
当然英語も同じで、昔使っていたのに今は使わない言葉や、新たに使われ始めた言葉がありますので、今回はその一例をご紹介したいと思います。
もくじ
『持ち帰り=”doggy bag”』はもう古い?
コロナのトンネルも出口が見え、海外旅行を考えている方も増えてきている頃だと思いますが、過去に行った旅行英会話を少し思い出してみてください。
レストランで、持ち帰りのことを”doggy bag”(ドギーバッグ)と言う、と覚えた方も多いのではないでしょうか。
実は、今では”doggy bag”という表現はほとんど使われなくなっています。
“doggy bag”の由来
元々、”doggy bag”というのは、「犬に食べさせるため(という建前で)食べ残したものを持ち帰る」ことから、そう言われるようになりました。
しかし日本でもアメリカでも、時とともにペットのあり方は変化しています。
今ではペットも大切な家族の一員であり、食べ残しを与える存在ではなくなっています。
そのため、“doggy bag”という表現は、あまりスマートとは言えなくなってきたのかもしれません。
“doggy bag”に代わる新たな表現
では、代わりにどのような表現ができるでしょうか?
アメリカのレストランで、持ち帰りたいときは、たったこれだけで伝わります。
Can I get a box? 「箱をもらえますか?」
Can I take this to-go? 「これを持ち帰ってもいいですか?」
Boxといえば、持ち帰り用の箱のこと。
“to-go”「持ち帰り」という表現を使って伝えることもできます。
自分で詰めるように箱を持ってきてくれるレストランもあれば、お皿を下げて厨房で詰めてきてくれるレストランもあります。
日本では、持ち帰りはNGのレストランが多いですが、アメリカでは、残ったら持ち帰るのが普通です。
持ち帰ることを前提に、多くオーダーしたりもします。
もし食事が余っているようなら、お店の人が”Do you need a box?”「箱は要りますか?」と聞いてくれることもあります。
ジェンダー・人種による言葉の変化
多様性の豊かなアメリカでは近年、LGBTやBLM (Black Lives Matter)の流れを意識した言葉の変化が進んでいます。
日本でも、男女共同参画の一環で、言葉の使い方に注意が払われるようになってきていますね。
「看護婦」が「看護師」に、「スチュワーデス」が「キャビンアテンダント」と呼ばれるようになったのはその一例ですね。
ノンバイナリーな代名詞『単数形の”they”(singular they)』
私たちが中学校で習う”they”は、「彼ら」「彼女ら」「それら」でした。
そう、複数形です。しかしこの”they”、実は単数形として使うことができるのです。
2019年を代表する『今年の言葉』に選ばれる
2019年には、”they”がアメリカの大手辞書出版社Merriam-Websterから『今年の言葉(Word of the Year)』に選ばれました。”they”の検索回数が、前年の300%超となったのです。
背景には、”they”の使い方の変化にあります。「単数形」としての“they”です。
これは、性の多様性への配慮にきっかけがあります。
“he”(彼)でも”she”(彼女)でもない第三の選択肢として”they”を使うことが、LGBTを支持する人たちの間でまたたく間に広がったのです。
SNSでの広がり
最近では、InstagramやLinkedinなど、プロフィールに「Pronouns(代名詞)」を入力できる欄があるSNSもあります。
自分のことをどのような性の人間として扱ってほしいかを伝えるために、
She/her → 女性
He/his → 男性
They/them → ノンバイナリー
と表記します。
海外の取引先からのメールの署名欄にも、自分のPronouns(代名詞)を記載しているのを目にしたことがある人もいるのではないでしょうか?
署名欄に使ってほしい代名詞を記載することで、メールを受け取った相手が迷いなく適切な代名詞を使うことができます。
また、自己紹介の際、名前の後に使ってほしい代名詞を言うこともあるそうです。
”My name is 〇〇. I use they/them pronouns.”
“My pronouns are they/them.”
単数形の”they”(singular they)は、ノンバイナリーな代名詞、時代に合わせて使われている言葉といえるでしょう。
当然、He/Sheを使うことを躊躇させるものではなく、選択肢が増えたということです。
言葉というものが、時代によって変わるものという観点でご理解いただければと思います。
新しい言葉に対応するには?
非ネイティブの私たちが、英語の変化の最先端をマスターしている必要はありません。
ただ時代や価値観の変遷が言語と密接に結びついているということが感じ取れると
言語の学習はより興味深いものになると思います。
そのような感覚を醸成するには、生の英語に継続的に触れるのが一番です。
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毎日話すことで、ネイティブの方の価値観や気を遣っているポイント等がわかるようになると、言葉を習得することで広がっていく世界観にワクワクすること間違いなしでしょう。
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まとめ
いかがでしたか?
流行語やスラングといった時代を反映しやすい言葉以外にも、価値観の変化によって
言葉が生まれたり、使われ方が変化したりするのですね。
様々な立場に配慮して、すべての人に優しくあろうとしている、今の社会。
新たな言葉や使い方に出会ったら、発見を楽しみ、柔軟に対応していきましょう。
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