「勉強」しても英会話ができるようにならない理由

私たち日本人は、中学・高校と、英語の勉強をたくさんしてきました。
それにも関わらず、英語を話せる方ってめったにいないですよね。
それはなぜでしょうか??
その理由は、人間の脳の仕組みにあります。
今回は、英語を「勉強」しても英会話ができるようにならない理由について、お話しします。

・英語学習の弊害

英語は、「習うよりも慣れなさい」という話を聞いた事がある方は多いのではないでしょうか。

日本人にとって不足しているのは、英会話を実践する機会であり、英語に接する量を増やし、スピーキング練習を積むことで解決できることばかりなのです。それにもかかわらず、日本人の多くは、いつまでも英語学習をしたいと思ってしまいます。

当スクールでも、文法や単語の勉強をもっとやりたいという方がいらっしゃいますが、過去の日本の英語学習の弊害でしかないと断言させていただきます。日本人が英会話を苦手な最も大きな原因は、英語を勉強することで身に付けようとしていることなのです。

皆様の周りでも英語を話せるようになっている方がいらっしゃるかもしれません。ぜひそのような方がいらっしゃったら、なぜ話せるようになったのか、聞いてみてください。

一番多いパターンは留学や海外赴任をした経験をお持ちのケースではないでしょうか。それ以外にも外国人の恋人がいたとか、何らかの形で外国人と英語でコミュニケーションを取らざるを得ない状況に置かれた方が多いのではないかと思います。

少なくとも私はこれまで、英語の教科書を何回も熟読して話せるようになったという方には出会った事がありません。

英語を話すためには勉強しても意味はありません。意味がないどころが、勉強すればするほど英語は話せなくなってしまいます。

この発言には少し驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。勉強することで英語が話せなくなってしまうメカニズムについて説明します。

脳はシングルタスクでしか機能しない

人間の脳は、そもそも同時に二つのことを処理することができません。

例えば、夕飯の献立を考えなから、「123+456」の計算を同時にやろうとしてみてください。
同時に考えることは難しいですよね?

人間の脳はこの二つのことを同時に行うことはできず、夕飯のことか、計算か、どちらか片方だけを瞬時に切り替えて処理していきます。

スイッチング

脳科学では、この二つの処理を同時にやろうとして、切り替わってしまうこの動きのことを「スイッチング」もしくは「タスクスイッチング」と表現をします。

つまり、このスイッチングを通して、常に片方だけの処理を繰り返し行っているということになります。

これは人間の脳の処理としては非常に効率が悪い状況です。

英会話におけるスイッチング

人間の脳が二つのことを同時に処理することができないということをご理解いただいたところで、英会話について考えてみましょう。

私たち日本人は、中学・高校で英語を勉強し、たくさん英単語を暗記してきました
そして、一生懸命覚えた英語表現
それらを使って英語を話そうとした場合、どのようなことが起きるでしょうか?

誰か外国人に話しかけられた瞬間に、 
こういうときにはこの単語を使うんだったよな
今話そうとしているのは過去のことだから過去形を使うんだよな
そんなことを考えながら、話す内容のことも一緒に考えている・・・。

このとき、脳では何が起こるかおわかりでしょうか?

そうです。

スイッチングが起きます

頭の中に溜まった知識を使って話そうとすればするほど、頭の中ではスイッチングが発生し、脳が非効率な状態になってしまいます。

これではもう会話状態にならず、結果、頭の中が、パニック状態になってしまっています。

なので、英語を話そうとしたとき、第一声だけは何とか表現できても、外国人から何かを返された瞬間に、頭の中がパニック状態になって、もう二つ目の表現が全く出てこなくて、焦ってしまう・・・。
こんな経験がある方も多いのではないでしょうか?

このパニック状態になっているときは、タスクスイッチングが始まってしまっている状況になっています。

つまり、英語を話そうとするときに、頭の中に入っている知識を使おうとする限り、英語を話せるようにはなりません。

英会話は自転車に乗るのと同じ

それでは、どうしたらいいのでしょうか?

例えば、夕飯の献立を考えながら同時に計算することはできませんが、夕飯の献立を考えながら自転車に乗ることはできますよね?

なぜならば、
自転車に乗っているときに、
「このカーブは、半径〇メートルくらいのカーブだから、ハンドルの角度は〇度に切って・・・」など、ハンドルを切る角度やペダルをこぐ速さを考える人はいないと思います。

ハンドルを切りながら、切り回し過ぎたら戻し、戻しすぎたら切る、と感覚で操作しています。

自転車に乗るという行為は、感覚で操作しているので、ハンドルを回したり、ペダルを漕いだりしながら、夕飯の献立を考えることができるのです。

つまり、英語も同様に、自転車に乗っているかのように、感覚で英語が出るようになると、話す内容について脳を集中させることができるので、
マルチタスクであっても英語を話すことができる状態になります。

身体能力としての英語を身に付ける

では、具体的に、英語を話せるようになるにはどうしたらいいのでしょうか?

間違いなくやっても意味がないのは、英語の知識を増やそうとすることです

「こういうときはこういうことを言うべきだ」
「こういうシチュエーションではこういう英語表現は言うべきではない」
YOUTUBEやSNS等でこのような情報を観れば観るほど、頭の中には余計な知識がどんどん溜まっていき、英語を話そうとするときにスイッチングが発生して、話せなくなってしまいます。

なので、英語を話せるようになりたいのであれば、知識を溜めるのではなく、口に英語表現をどんどん覚えこませていくしかありません。

そもそも英会話は数学や理科、社会等と並べられるべき科目ではなく、体育、音楽、美術等と並び習得されるべきものなのです。

英会話ができるようになるためには、勉強ではなく、練習が大切です。英会話はスポーツと同じ方法で習得すべき能力なのです。従って、「あっという間に」ペラペラになったり、「とても簡単(楽)に」身に付くことはありません。

英語を話せるようになるためには、スポーツと同じくコツコツと基礎トレーニング(スポーツでは筋トレ等)をしていく必要がありますし、実践トレーニングもしていく必要があるのです。

まとめ

いかがでしたか?
脳の仕組みを理解することで、勉強だけではなぜ英語が話せるようにならないのかイメージ頂けたでしょうか?

英語を話せるようになるためには、もっと勉強しなければ!と思っている方も多いと思いますが、勉強しても話せるようにはなりません
確かに、英作文については、知力が必要です。
逆に言うと、知力があればできるようになります。
しかし、英会話は知力があってもできるようにはなりません
英会話習得するためには、必ず身体能力として身に付けなければいけないという意識を持って取り組んでいただけたらと思います。

そのためには、たくさんの表現を口に出して、覚えこませていき、外国人との会話を毎日のように取り組んで、外国人とのコミュニケーションにも慣れていくことが必要になります。
そうすることによって、徐々に徐々に脳をフル回転させず、脳を使って英語を絞り出すのではなく、感覚として英語が出てくるようになります。

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