脳科学から見た!日本人が陥りがちな「英語スピーキング」の誤解

今回は、英語スピーキングにおいて日本人が陥りがちな「正しい文法を意識するとスピーキングができなくなる」理由です。
最初に人間の脳の働きの基本的なことを確認した上で、文法を意識していると何故スピーキングができなくなってしまうのかについて説明します。
脳の働きをご理解いただいた上で、最後に英語スピーキングができるようになるための正当な方法を紹介します。


人間の脳の機能の制限

人間の脳はシングルタスク?

そもそも人間の脳はどのように働いているのでしょうか。
非常にシンプルなことですが、人間の脳は1度に2つのことを考えることができない仕組みになっています。
もしかすると、周りに非常に仕事の早い方がいて、沢山のことを同時にこなしているかのように感じた経験をお持ちの方もいるかもしれません。しかし、どんな人間も共通して一時点では一つのことしか考えられないのです。

短い時間で沢山のことをこなせる優秀な人がいたとしても、その人は一つ一つのことを短い時間で処理しているだけであり、複数のことを同時に考えて処理しているわけではないのです。

マルチタスク=タスクスイッチング

このことについて、米Entrepreneurの記事で、『SINGLE TASK』の著者デヴォラ・ザック氏の意見が紹介されています。

「みなさんがマルチタスクと呼んでいるものは、神経科学者の言うところのタスクスイッチングです。(2つを同時に考えているのではなく)複数のタスクを短時間で行き来しているのです」

まだ納得できない方がいるかもしれませんので、一つお題を提示したいと思います。
昨日の朝食メニューを思い出して、食べたものを頭にイメージしてみてください。朝食を食べてないという方は、昼食でも夕食でも結構です。
食べたものをイメージした上で、その料理を作る過程を想像してみてください。
料理を作る過程を考えながら、以下の数式の計算に取り組んでください。
両方同時にですよ。
3,572 + 2, 218

Thinking Time…

いかがでしょうか。もしかすると瞬時に計算結果を導き出せた方もいるかもしれません。
ただ、そのような方であっても、先ほどの足し算をしている一瞬の間は、料理を作る過程について考えるプロセスは停止していたのではないでしょうか。
このように、人間の脳は必ず一時点では一つのことしか考えられないようにできています。
さらに、先ほどのザック氏によると、タスクスイッチングは生産性を40%も低下させるだけでなく、脳が収縮する原因になると指摘しています。短時間に高速でスイッチを切り替えようとすると「脳がオーバーロードし、脳内の灰白質が収縮する」と言っています。

文法を意識する時に起きていること

上記をご理解いただいた上で、文法を意識して英語を話すということがどういう事かを説明します。
人が誰かとコミュニケーションを取ろうと思った場合、何かしら伝えたい内容を頭に思い浮かべているはずです。
分かり易いように、先程と同じく、自分が食べた食事の作り方を説明しようとしているとします。

さて、この時文法的に正しい英語はどうすれば良いのだろうと考え始めたら、何が起きるでしょうか。勘の良い方はお気づきかもしれません。そうです。先程料理の仕方を想像しながら、4桁の計算をしていただいたのと同じことが起きるのです。
つまり、文法のことを考え始めた瞬間に、そもそも話したかった料理の内容については考えることができなくなるのです。
英語を話す時に文法を意識するということはこういうことなのです。つまり、文法をいくら勉強しても、決して英語スピーキング力はつきません。話せるようにならないばかりか、一生懸命自分の頭をフル回転させて、文法のことばかり考えるので、話したい内容が分からなくなってしまいます。これでは本末転倒ですね。

初めてこのことを知った方にとってはにわかに信じられない内容かもしれません。
これが本当のことであることを体験していただく方法が一つあります。日本語で同じことをやってみれば良いのです。
日本語初心者の外国人が目の前にいると想像して、目玉焼きでもスクランブルエッグでも何でも良いので、何かの料理の作り方を日本語で説明をしようとしてみてください。ただし、目の前の外国人は、日本語初心者ですので、簡単で完璧に正しい日本語でないと理解できない前提で話してみてください。

どうでしょうか。うまく日本語を話せない状態を体験していただけたのではないでしょうか。日本語ですらできないことを、母国語でもない英語でできるわけがないですよね。

冒頭の項目で説明した通り、外国語を話す際にタスクスイッチングを常に行うことは脳に悪影響を与えてしまう可能性があります。頑張って英語を「勉強」することは、英語スピーキングができる近道にはならず、脳にとっては大きな負担となるのです。

文法を意識せずに英語スピーキングができる方法

ここまでの説明を通して、英語を「勉強」することで話せるようになろうとすることが、どれだけ非効率で危険かという共通理解が得られたと思います。この項目では、どうすれば英語スピーキングができるようになるのかを説明します。

結論として、料理の説明をするときは料理のこと以外を考えてはいけません。文法をどうしようとか、こういう時は”the”が正しいのか、”a”が正しいのか、といったことは考えてはいけないのです。
知識を蓄えて考えながら結論を出すのではなく、体で覚えて考えなくても口が動く状態に持っていく必要があります。
そんなことができるのかと思うかもしれません。それはこれまでの日本の英語教育の悪影響だと感じています。

「考えなくても口が動く状態にする」のは、スポーツや楽器を身につけるのと同じ考え方です。日本の英語の授業は数学や地理、歴史などと同じように勉強してきました。読み書きができるようになるという観点では、この考え方は間違いではありません。

ただし、話す力を身につけるためには、このようなアプローチでは決して効果は出ません。
英語スピーキングを身につけるためには、体育や美術、音楽の授業のように練習あるのみです。若干の才能の差はあるかもしれませんが、間違いなく練習すればするほど、英語スピーキングは「上達」します。

英会話を勉強して身につける考え方では効果を期待できません。英語スピーキングができるようになるためには、スピーキング練習に沢山取り組むしかないのです。
残念ながら、英語スピーキングができるようになるには「あっという間に」とか「簡単に」実現できる魔法の方法はありません。

実直に練習すればするほど上達します
練習の量は嘘をつきません。
習うのではなく、練習です。

練習には二つの方法があります。基礎トレーニングと実践トレーニングです。

基礎トレーニング


基礎トレーニングは、スポーツと同じように、その言語を使うための基礎的な力を身につけるため、日々繰り返し行うトレーニングです。このトレーニングにおいては、話す相手は必要ありません。日々コツコツと正しい英語を話すスピーキング練習を行うことが必要となります。

実践トレーニング


実践トレーニングは、スポーツで例えると試合勘を身につけるトレーニングです。英会話では外国人と話すことが、試合勘を身に着けるために必要なトレーニングです。外国人と英語で話す機会を沢山持つことによって、試合勘も徐々に身につけることができるようになります。

是非とも英語スピーキングにおいても基礎トレーニングと実践トレーニングを組み合わせた「練習」を通して、話す際は話す内容のみを考えて話せるようになってください。人間の脳はシングルタスクでしか機能しないのですから。

いかがでしたか。
初めは気恥ずかしく思うかもしれませんが、「英語の自分」も、間違いなくもうひとりの「自分」です
英語を話す機会を積極的に増やして、もうひとりの自分に自信をつけましょう!


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